遺言執行者の地位と権限
遺言執行者が就職を承諾し、又は裁判所から選任された場合は、遺言執行者は、相続人の代理人とみなされます。
遺言執行者は、相続人の代理人であるとして、その代理の性格については、現実には任意代理人に近いとされています。
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有するものとされます。
そして、遺言執行者がある場合、相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができないとされます。
このため、遺言執行者は、遅滞なく相続財産目録を作成して相続人に交付しなければならないことになっています。(民法1011条1項)
相続財産目録は、遺言執行者にとっては、相続財産に対する管理処分権の対象を明確にすることにありますが、相続人サイドからすれば遺留分権利者である場合、その行使を決める資料として、あるいは財産の範囲が見落とされていないかチェック機能があることになります。遺留分を有しない法定相続人に対しても、財産目録を交付しなければならないものとされていますが、相続人が遺留分を有するか否か、相続させる遺言が個別の財産を相続させるものであるか、全財産を包括的に相続させるかにかかわらず、相続人に対して等しく交付すべきものとされています。