換価分割や代償分割はどのようなときに考えるのですか。
すべての相続財産を換価分割するというケースは多くありませんが、一部を換価するということはよくあることです。
そして、換価分割は変わりやすく云えば売却するということで、その売却益を相続人で分け合うということになります。
さて、平等相続という理念で一番望ましいという学者もいますが、現実的には、財産の売却を伴いますから相続税、譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税がかかりますので、相続人が予期しない出費を迫られます。しかも税金は待ったなしです。
インテンションとしては、相続財産を現物分割することが難しい場合、相続税の支払原資を確保するためにキャッシュが必要な場合が挙げられます。
では、代償分割はどうでしょう。ある程度は、現物で遺産分割させつつ、足りないところは代償分割で補うというのはよくあるパターンといえます。
この代償分割、要するに多く相続しすぎる人がお金を払って「平等」にならしましょうというものです。
代償分割は、現物分割が困難な場合、唯一の遺産である不動産を特定の相続人に相続させたい場合に使われるものです。
教科書には現物分割が原則で、それ以外の分割を合意がない場合に行うことが許されるか、という論点が真剣に議論された時期もありましたが、現在は裁判所も現物分割があまり望ましいとは考えていないように思います。たまに勘違いされている方がいますが、共有のまま残すことを現物分割というのではありません。土地の分筆をして独立した不動産として現物で分ける、という意味と一般的には考えられています。