遺産の内容が借金だらけと気づいたことから相続放棄できますか。
相続人が錯誤に陥ったことから相続放棄をすることなく熟慮期間が過ぎてしまったということがよくあります。
ところが、その後借金の存在が判明するなど、遺産内容の重要部分に錯誤がある場合は、錯誤に陥っていることを認識した後、改めて熟慮期間内に錯誤を理由として、単純承認の効果を否定して、相続放棄をすることはできるのでしょうか。
結論からいいますと、あくまでも「錯誤が遺産内容の重要部分」である必要があると考えられます。そして,相続人において、錯誤に陥っていることを認識した後、あらためて相続放棄を行うことができる余地があります。
もっとも、熟慮期間があり、かつ、期間の伸長まで認められるのですから、財産調査は終わっていることが前提とされていますので、なかなか借金の存在がみつかるのが困難との事情が必要と考えられます。具体的には、相続人側で調査義務を尽くし、相続人の責任がどれくらいあるかが考慮要素になるものと考えられます。
遺産分割協議も法定単純承認の事由に該当するので、相続放棄ができなくなりますが、相続放棄手続をとらなかったことが相続債務の不存在を認識していなかったためであり、生活状況や他の共同相続人との協議内容によっては、遺産分割協議が要素の錯誤により、無効となり法定単純承認の効果も発生しないとみる余地がある可能性があります。
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