養子縁組を争うとき
認知症を患っていた幸助がなくなり、遺産分割をしようとしたところ、姉の夫の幸太郎が父母と養子縁組をしていることが分かりました。養子縁組の手続きは、父が認知症になってから行われており、その経緯を知る者は、姉夫婦のほかにいません。義理の兄に私たち実子と同じ割合で遺産を分割されることを防ぐことはできますか。
ポイントは、養子縁組無効の調停を申し立てます。そして、養子縁組無効の確認の裁判を提起します。義理の兄から、死後離縁許可の審判を得たうえで協議をします。ここでは、縁組の無効原因は、人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないときに限られています。
なお、当事者間で縁組無効の合意が成立し、無効原因について争いがない場合については、家庭裁判所は、さらに必要な事実の調査をしたうえで、縁組無効の審判をします。
養子縁組の無効の認容判決が確定したときは、遡って無効、棄却となった場合は無効原因の不存在が確定することになります。勝訴した原告は、判決確定の日から1か月以内に判決の謄本を添付して戸籍の訂正を申請しなければならない、とされています。また、訴えを提起した者が届出をしないときは、相手方は裁判が確定した旨を届けることになります。縁組意思の不存在については、弁護士に相談されることをおすすめいたします。