相続法改正が影響するケースと対応方法

相続法が改正されて2019年~2020年にかけて段階的に施行されていますが、具体的にはどういった方にどのような影響が及ぶかご存知でしょうか?

今回は相続法改正が影響するケースと正しい対処方法について、名古屋の弁護士が解説します。

1.これから遺言を書く人

これから遺言書を作成する人は、相続法改正によって大きな影響を受ける可能性があります。
従来、自筆証書遺言は「全文自筆」で書かねばなりませんでしたが、今後は「遺産目録」については自筆で書かなくても良いと変更されました。パソコンで作成したり他人に代筆をお願いしたりできますし、預貯金通帳のコピーや不動産全部事項証明書を添付したりする方法も有効になります。
また2020年7月からは作成した自筆証書遺言を法務局に預けられるようになります。そうすれば死後に家庭裁判所で「検認」を受けなくても良いので、相続人たちにかかる負担も軽減されます。

なお公正証書遺言を作成するケースでは法改正による影響はありません。

2.被相続人の配偶者

被相続人の配偶者は相続法改正により大きな影響を受ける可能性があります。
まず配偶者には「配偶者短期居住権」や「配偶者居住権」が認められるようになります。
配偶者短期居住権とは、被相続人の死亡後「6か月間」または「遺産分割協議が成立するまで」の長い方の期間、配偶者が家に住み続けられる権利です。遺産分割協議などをしなくても配偶者に当然に認められるので、急に家からの退去を求められる心配が不要となります。
配偶者居住権は、配偶者が一定期間または生涯、家に住み続けることができる権利です。遺産分割協議によって配偶者が配偶者居住権を取得した場合に認められます。

また被相続人から居住用不動産の生前贈与を受けた配偶者にも影響が及ぶ可能性があります。これまで配偶者が不動産の生前贈与を受けると、それが「特別受益」と評価されて配偶者の遺産相続分が減らされる可能性がありました。
法改正後は、婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、配偶者への居住用不動産を贈与したときには、基本的に配偶者に関しては特別受益の持ち戻し計算が行われません。配偶者は遺産取得分を減らされることなく法定相続分まで遺産を取得できて保護されます。

配偶者に対する生前贈与の特別受益の免除については既に施行済ですが、配偶者居住権は2020年4月1日から施行されるので、それ以後に相続した配偶者に影響が及びます。

3.遺留分を侵害された人

遺留分を侵害された人も相続法改正による影響を受けます。
これまで遺留分を取り戻すには「遺留分減殺請求」をしなければなりませんでした。遺留分減殺請求は「遺産そのものを取り戻す」権利だったので、権利行使すると不動産や株式などは「共有」となっていたのです。また相続人が勝手に遺産を売却した場合などには取り戻しが難しくなるリスクもありました。

法改正後は「遺留分侵害額請求」といって「お金を払ってもらう権利」に変わりました。遺留分侵害額請求をしても不動産や株式が共有になることはなく、お金で清算してもらって手続きを終えられます。お金での清算を求めることができるので、相続人が遺産を売却しても影響を受けません。

2019年7月1日以降に発生した相続に関して「遺留分侵害額請求」の規定が適用されます。それ以前の相続のケースには従来の「遺留分減殺請求」が適用されるので注意が必要です。

4.預貯金を相続した人

預貯金を相続した人にも相続法改正の影響が及びます。これまで、預貯金を相続した場合には「遺産分割協議」が成立しないと預貯金の払い戻しを受けるのが困難でした。
法改正後は「法定相続分の3分の1まで」であれば、相続開始後すぐに預貯金の払い戻しを受けられるようになります。
被相続人の死亡後に葬儀などで何かと物入りなときに助かるでしょう。

この規定が施行されたのは2019年7月1日です。

5.不動産を相続した人

不動産を相続した人は、相続法改正によって大きな影響を受ける可能性があります。
これまで、不動産を相続した相続人は「相続登記(名義変更)」をしなくても第三者へ権利を主張できました。
しかし法改正後は「相続登記(名義変更)」しないと第三者へ権利主張できなくなります。
相続登記前に無権利者が土地や建物を売却してしまい、相手方が先に登記を備えたら相続人であっても土地建物の所有権を主張できなくなってしまうおそれがあります。

施行日は2019年7月1日です。改正後はこれまで以上に早急に相続登記を行う必要があるといえるでしょう。

6.被相続人を献身的に介護した親族

被相続人を献身的に介護した人(法定相続人ではない親族)にも大きな影響が及びます。
これまで相続人ではない親族が被相続人を介護しても、親族本人には寄与分が認められていませんでした。どんなに自己犠牲を払って介護しても親族が遺産を受け取ることはできなかったのです。
法改正により、一定範囲の親族には「特別寄与料」が認められるように変更され、被相続人を献身的に介護した「6親等以内の血族、3親等以内の姻族」は相続人へ「特別寄与料」というお金を要求できるようになりました。たとえば長男の嫁や孫などに特別寄与料が認められます。

この規定が施行されたのは2019年7月1日なので、それ以後に発生した相続における親族に影響が及びます。

7.遠い昔に生前贈与を受けた相続人

これまで相続人が被相続人から生前贈与を受けた場合には、どんなに古いものでもすべて「特別受益」と評価されました。
40年前や50年前に受け取ったお金や不動産についても特別受益の持ち戻し計算が行われたので、古い話が蒸し返されて遺産分割協議が紛糾する事例が相次いでいました。そういった状況を改善するため、2019年7月1日以降は「相続開始前10年以内の生前贈与」のみが特別受益と評価されるように変わりました。
遠い昔に生前贈与を受けた相続人は「特別受益の持ち戻し計算」をされずに済むようになります。

名古屋で今後遺言書を作成したい方、最近相続が発生して対応に迷っている方などがおられましたら、お気軽に弁護士までご相談下さい。

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