遺言無効確認の訴えを起こされたい方
最近、遺言無効確認の訴えについてのご相談等をお請けしました。
遺言が有効であるためには、遺言能力ないし意思能力、つまりは法的判断ができるくらいの精神能力が必要といえます。
この点、判例をみると脳溢血の後遺症として脳動脈硬化症のため中等度の人格水準低下と痴呆がみられる、というケースがあります。
このケースは遺言能力を否定されました。
また、脳梗塞により、遺言の8日後に多発性脳梗塞により意識不明になった状態になったというケースがありました。
このケースでは、本件遺言の数ヶ月前から周囲の者の言動に迎合し、自分の財産の管理の意向をころころ変えていたという事情がありました。
一方では、かなりきわどく有効とされたケースもあります。
94歳の方で、加齢に伴う生理的な認知症は認められるものの、痴呆の領域には至っておらず94歳の標準的な精神能力を有していたと認められることなどが挙げられています。
このケースでは遺言の前夜、血圧が低下し、一時的にショック状態に陥り、意識レベルが大きく低下したものの、その後回復があったものとして、この点は問題視されなかったという事案です。
このように、裁判では、具体的事実の中から遺言能力の有無について判断をすることになります。